香りの脳への効果は?用途&シーン別に適した香料も紹介

香り効果

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心を安らげる・深い眠りに誘うとして有名なラベンダーなど。昔から香りには一定の効果があるとされてきました。ただ香りに効果があるとされるのは、迷信やスピリチュアルな話だと思っている方もまだまだ多いのではないでしょうか。

実は古くから香りの効果は多くの研究者によって、文化や習俗的なアプローチの他に、科学的なアプローチも受けてきました。そして現在では、香りによってもたらされる様々な効果が、なぜ・どのような仕組みになって得られているのかも徐々に解明され出しています。

上記で触れたラベンダーの香りでなぜリラックス効果が得られるのかも、すでにある程度の仕組みや効果があるとされる成分は分かっているのです。そこで本記事では、奥深い香りと脳の関係、実際にどの香りでどのような効果が期待できるのかなど詳しくご紹介します。

オフィスにアロマを導入した際に期待できる効果
  • 香りの芳香成分が脳に影響を与えることで効果が見込める
  • 香りによる集中力UP、ブランディングなどでビジネスシーンに活用が可能
  • 香りの効果はリラックス・リフレッシュ・安眠効果など様々

香りにはなぜ効果があるの?

香りは目に見えず、そのものに触れることもできませんが「そこにある」と明確に分かる不思議な存在です。まずは、香りの効果を得るためにも必要な、脳と嗅覚の関係について確認していきましょう。

香りは大脳辺縁系を刺激する

嗅覚以外にも視覚、聴覚、触覚、味覚のいわゆる五感と呼ばれる感覚のすべては、鼻や目、耳や肌や舌で直接感じるわけではありません。送られる信号を脳が処理することによって認識されること自体は、昨今メディアで取り上げられることもあるので広く知られているのではないでしょうか。

中でも、多くの感覚は一度「視床下部」を経由し「大脳新皮質」に送られますが、香りを認識する際には視床下部を経由せず、また大脳新皮質ではなく感情や本能を司る「大脳辺縁系」に送られます(※1)。

ダイレクトに大脳辺縁系を刺激することから、五感の中でも最も原始的かつ本能に直結する感覚だといわれているのです。太古の人間が生きる環境において、忌避すべき物質や敵の感知、配偶者を見つけるためには、目や耳に頼るより嗅覚こそ重要だったのではないかと考えられています(※2)。

最も原始的かつ、生きるために必須の感覚であったからこそ、現在でもより本能的な感覚として残っていると考えられるでしょう。なお大脳辺縁系は本能だけではなく感情も司るとされることから、香りによるリラックス効果などが表れやすい原因の一つと考えられています。

香りの脳への効果(※弊社共同研究による)

弊社でも共同研究を行い、実際に香りを漂わせ空間をきれいな空気で満たすことで、脳がどのように反応しているのかを確認しました。利用した香りの種類は柑橘系+ミント系(当社商品Suvalite Airの機能性フレグランス「AQUA VERDE」)、古賀良彦先生(杏林大学名誉教授・医学博士)監修のもとで検証しています。

前提条件 ・当社が開発した酸素クラスターイオン及び空間フレグランスの香りによって空間の空気品質を向上
・脳の活動効率上昇=パフォーマンス向上であると仮定
検証方法 ・パフォーマンス試験(2-Backテスト(1)、ウィスコンシンカードソーティングテスト(2)、内田クレペリン変法テスト(3))
・脳血液量評価

検証結果は、香り雰囲気がある空間での「2-Backテスト」の正答率が33%向上、「ウィスコンシンカードソーティングテスト、内田クレペリン変法テスト」の正答率ともに10%の向上が見られました。また脳血流評価においても、香り雰囲気を用いたケースでの血流増加を確認(※3)。

男女ともに実験に参加いただきましたが、平均すると男性で1.3倍、女性では最大1.6倍の生産性向上が確認されました。脳科学の観点から検証した結果、空間に香りを用いることはパフォーマンス向上に有用だということが分かったのです。

テスト内容
  • (1)短期・作業記憶を評価する試験。文字や数字を次々と提示され、指定された分の前の文字・数字を答えるもの(本試験での指定は2つ前、2、4、6、8、7、と示された場合、6の時点で2を、8の時点では4を答える)
  • (2)主に前頭葉を使用、図形の認知及び抽象的な思考を評価するもの
  • (3)簡単な一桁の足し算を一定時間行い、集中力の持続や作業効率を見るもの

ビジネスに活かせる香りの効果

香りを空間に用いることで、パフォーマンス向上の効果が期待できると分かりました。ビジネスにおいてはオフィスなど仕事場での利用が考えられるでしょう。しかしビジネスに生かせる香りの効果は、パフォーマンス向上だけにとどまりません。他にはどのような効果が期待できるのかを確認していきましょう。

プルースト効果

プルースト効果とは、特定の香りをかいだ際に、香りと関係した記憶が呼び起こされる現象を指します。特定の香りで学生時代を思い出す、すれ違った人の香水で昔の恋人を思い出すなど。特徴的な点は、記憶が呼び起こされるばかりではなく、当時抱いていた感情も併せて引き出される点でしょう。

懐かしさと同時に、当時感じていた楽しさや愛しさ、場合によっては切なさなども反芻されるのです。当時の記憶と感情を生々しく思い出すことは、考え方を変えれば感情に強く訴えかけられるともいえます。ビジネスにおいては、この感情に強く訴えられるプルースト効果を、ブランディングに利用できるのです。

オフィスやホテルのロビーに特定の香りを漂わせることで、特定の香り=企業やブランドの香りと覚えてもらえます。香りを覚えてもらえば、自社と関係ない場所でも、香りと出会うだけで企業やブランドを思い出してもらえるでしょう。

またホテルであればDMに同じ香りをまとわせることで、ホテルでの楽しかった時間を思い出してもらうことも可能です。香りでホテルを思い出す→楽しかった記憶を思い出す→また利用したいと思ってもらう。このように既存顧客の継続的な利用を促すことにもつながるでしょう。

滞在時間を伸ばす効果

心地よい香りを店舗やブースに漂わせることで、居心地をよくする効果も期待できます。そして、店舗やブースにおいて、滞在時間を延ばすことは売上アップにもつながるという研究結果があるのです。

駅消費研究センター「駅ビル回遊行動調査」では、購入意欲があったとしても滞在時間が短い人より、購入意欲が低くとも滞在時間が長い人の方が、購入率・購入金額ともに高いという結果(※4)になりました。飲食店のように、席数が定められている店舗の場合はまた別でしょう。

しかし、回遊行動が可能な店舗では滞在時間の長さが、売り上げに直結しているとも考えられるのです。また店舗ではなく、統一のテーマがあるイベントの場合は、香りによる差別化も期待できるでしょう。香りは個人の心身を整える効果を持つだけではなく、ビジネス上でも非常に有用なものだといえます。

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目的別の香りの効果

そもそも香りに効果があるのはなぜなのか、またビジネスにおける香りに期待できる効果について紹介しました。様々な利用方法があると知れば、次に気になるのは目的に合った香りにはどのようなものがあるのか?といった点です。

ここからは集中したいとき、リラックスしたいときなど目的別でおすすめの香りについて解説します。なお挙げている香りの種類はあくまでも一例です、人によって好みがあるので自身に合う香りを探してみてください。

シトラス系・ハーブ系

おすすめの香り
  • レモン
  • オレンジスイート
  • グレープフルーツ
  • ペパーミント
  • ローズマリー

集中したいときにおすすめの香りはシトラス系やハーブ系の香りだとされます。シトラス系のアロマには、ほぼすべてに含まれているともいえるほど代表的な「リモネン」という成分が存在します。リモネンは名前でイメージできるように、レモン様の香りを持つ芳香成分。

交感神経を刺激することで、覚醒作用(※5)があるとされます。集中したいのに眠気が襲ってくる、なかなかやる気が出ないときなどに有効だといえるでしょう。

ハーブ系のアロマでは、ペパーミントの香りには覚醒と鎮静の両方の効果が期待できるとされます。またローズマリーには「カンファ―」と呼ばれる芳香成分が含まれており、別名「カンフル」とも呼ばれるこの成分は脳の活性化を促し、集中力を向上させてくれるでしょう。近年では、ローズマリー・カンファーは認知症予防にも一定の効果が期待できるのではと研究が進められています(※6)。

フローラル系・オリエンタル系・シトラス系・ウッディー系

おすすめの香り
  • ラベンダー
  • ゼラニウム
  • イランイラン
  • ベルガモット
  • ヒノキ

リラックスしたいときの香りといえば、多くの方がイメージするラベンダーを始めとしたフローラル系が多いといえるでしょう。フローラル系の芳香成分には、多くの場合「リナロール」「酢酸リナリル」と呼ばれる成分が含まれており、これらの成分には鎮静作用がある(※7)と分かっています。

自律神経に働きかけ、副交感神経を優位にすることで脳を鎮静化=リラックス効果が得られると考えられています。ベルガモットやイランイランにもリナロールが含まれているので、リラックス効果が期待できるでしょう。なお、ウッディー系であるヒノキも、脳の鎮静化を促すとされる(※8)ので高いリラックス効果をもたらしてくれます。

フローラル系・シトラス系・ウッディー系

おすすめの香り
  • ラベンダー
  • ゼラニウム
  • ベルガモット
  • オレンジスイート
  • ヒノキ

睡眠不足解消、深く良質な眠りを取りたいときにおすすめの香りは、フローラル系・シトラス系・ウッディー系などが挙げられます。深い睡眠を得るには、心身ともにリラックスが必要です。起きているときより、深くリラックスをする必要があるので、香りの効果だけではなく好みも大きく関わってくることを知っておきましょう。

リラックスに効果的な芳香成分は、上記でも触れたようにリナロールや酢酸リナリルが代表的なもの。深いリラックスへと心身を導くことで、ぐっすりと眠れるひと時を演出してくれるでしょう。なお、ウッディー系の鎮静作用は異なる成分になるので、香りの系統も大きく異なります。

樹脂系・ウッディー系・フローラル系・シトラス系

おすすめの香り
  • フランキンセンス
  • ヒノキ
  • ラベンダー
  • ローマンカモミール
  • ベルガモット

イライラやストレスを抑えたいときに効果的な香りの代表となるのが、樹脂系にカテゴリされるフランキンセンスです。含まれる芳香成分「α‐ピネン」は、副交感神経を優位にすることでイライラやストレスを緩和する効果があると報告されています。

ヒノキにもα-ピネンが含まれているので、森林浴をしたときに落ち着くと感じる原因の一つなのではないでしょうか。ストレスの緩和には、心身をリラックスさせることも有効なので、上記までで触れてきたラベンダーやベルガモットでもストレス緩和効果を期待できるでしょう。

ウッディー系・オリエンタル系・樹脂系・シトラス系・ハーブ系

おすすめの香り
  • ヒノキ
  • サンダルウッド
  • フランキンセンス
  • ローマンカモミール
  • レモン
  • ベルガモット
  • ペパーミント
  • ローズマリー

じっくりと冷静に考えごとをしたい場面では、ウッディー系やオリエンタル系に含まれるα-ピネンが熱くなりがちな心を落ち着かせてくれます。シトラス系に含まれるリモネン、ハーブ系のすっきりする香りを合わせることで、考え事に集中することも可能です。

じっくりと一つのことを考える際には、冷静さを保ちながら集中力が必要なので一つだけの香りにこだわることもないでしょう。考えが行き詰った際には、ベルガモットなどリナロールが含まれる香りを活用する方法もおすすめです。

シトラス系・フローラル系・オリエンタル系

おすすめの香り
  • グレープフルーツ
  • オレンジスイート
  • ベルガモット
  • ローズ
  • ジャスミン
  • イランイラン

ストレスを抑えるだけではなく、明るく前向きな気分になりたいときはシトラス系の「グレープフルーツ」がおすすめです。グレープフルーツの香りには、幸せホルモンとも呼ばれる「エンケファリン」の分泌を促す効果があるとされます。自分への自信を取り戻し、高揚感を覚えやすくするとされるので、より明るく過ごしたいシーンでの活用がおすすめです。

またフローラル系のローズ、オリエンタル系のイランイランもグレープフルーツと同じ効果があるとされます。香りの好みに合わせて使い分けてみてはいかがでしょうか。または自分だけで使う場合は甘く香ローズ、人が集まる場所で使うなら万人受けしやすいグレープフルーツといった使い分けもできます。

シトラス系・フローラル系

おすすめの香り
  • オレンジスイート
  • ベルガモット
  • グレープフルーツ
  • ラベンダー
  • ローマンカモミール

昔のことを思い出して憂鬱になる、特に理由はないけれど何となく不安。このような場合におすすめなのが、不安な気持ちを抑えてくれるオレンジスイート。ジューシーな香りに包まれることで、不安な気持ちを徐々にほぐしてくれるでしょう。

他にもベルガモットやラベンダーはリラックス作用、グレープフルーツは明るく前向きになる手助けをしてくれます。ローマンカモミールもまた、柔らかな鎮静作用にリラックス効果があると古くから知られてきたアロマです。中でも不安や怒りを抑える効果が優れているとされるので、香りの好みに合わせて選んでみてください。

香りの種類ごとの特徴

シーンごとにおすすめの香りを紹介してきましたが、嗅覚は人によって好みが激しい感覚でもあります。効果があるとされる香りでも、我慢しながら利用しては逆効果になりかねません。そこでここでは、香りの種類ごとの特徴と期待できる効果の傾向について見ていきましょう。

フローラル

代表的な香りはローズやラベンダー、ゼラニウムなど。甘く華やかな香りが多く、特に女性に人気が高い香りといえるでしょう。リラックス効果、幸福感を覚える効果があるアロマが多い傾向です。

シトラス(柑橘)

代表的な香りはレモン、オレンジ、グレープフルーツやベルガモットなど。基本的に瑞々しく爽やかな香りが多く、万人受けしやすい香りだといえます。リラックス・リフレッシュどちらの効果を持つ香りも多く、多様な場面で利用しやすい香りです。

ウッディー

代表的な香りはヒノキ、シダーウッドなど。生えている木より、製材所などにある木材のような香りと考えればわかりやすいでしょうか。鎮静効果が高い芳香成分を持つことが多く、リラックスしたい場面や熟考したい場面などで活用できるでしょう。

オリエンタル

代表的な香りはイランイラン、サンダルウッド、オスマンサス(金木犀)、パチュリなど。甘く濃厚な香りが多く、ある意味好き嫌いが分かれやすい香りです。香りを用いることで幸福感を覚えやすい、リラックス効果などが期待できます。

ハーブ

代表的な香りはペパーミント、ローズマリーなど。個性的で特徴的な香りも多くなっていますが、ミント系など爽快感を覚える香りが多い傾向です。古くから薬、虫よけとして使われてきました。期待できる効果には、集中力アップの他に、虫よけや抗菌作用などが挙げられます。

スパイス

代表的な香りはシナモン、クローブ、ペッパーなど。料理で使われるスパイスと同じものも多いので、ある種身近な香りといえるでしょう。多種多様な香りが存在しますが、一言でいうとエスニック・アジア系の料理のような香りです。心を上向きにする、活力を与えてくれる効果が多いとされます。

樹脂

代表的な香りはフランキンセンス、ミルラなど。木の皮をはいだり、幹に傷を入れたりすることで流れる樹脂から採取される香りです。同じ木から取れる香りですが、ウッディー系とは異なり甘く重たい香りが大きな特徴といえるでしょう。不安や怒りで落ち着かない心を静める効果が期待できます。

まとめ

  • 香りを感じる嗅覚は、五感の中で唯一大脳辺縁系にダイレクトに届く感覚
  • 香りの効果はブランディング、店舗での滞在期間を長くするなどビジネスシーンでも有効
  • リラックス・リフレッシュ・安眠・集中力アップなど様々な効果が期待できる

今回は上記のように香りの効果について、詳しく解説しました。思っていた以上に幅広い利用が可能なことはもちろん、科学的なアプローチが進んでいることにも驚いたのではないでしょうか。

ただ香りの効果は多岐にわたることは事実ですが、同じ香りでも正反対の効果が見込めたり、同じ効果でも香りの種類が多すぎたりするケースも多々あります。どの香りをどのように利用すべきか、ブレンドするとどうなるのか?など疑問はまだまだ尽きないものでしょう。

ビジネスシーンで香りを有効活用したいと考えた場合は、ぜひ弊社にお気軽にご相談ください。目的に合わせた香りの活用法から、香り空間の実現、ブランディングに用いるオリジナルアロマの作成まであらゆる面からお手伝いいたします。

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