香りでブランディングができる?嗅覚に訴える手法と事例を紹介!

香りでブランディングができる?嗅覚に訴える手法と事例を紹介!

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香りを用いることで、顧客や消費者によりよい体験を提供でき、他社との差別化を図れるとされる「香りによるブランディング」。感情を揺さぶりやすい香りを活用することで、自社ブランドを覚えてもらいやすくなる、またはよいイメージを持ってもらいやすくなるなどの効果が期待できます。

香りの効果や嗅覚そのものの研究が進み、ビジネスの手法が多岐にわたる現代だからこそ生み出された、比較的新しい手法だといえるでしょう。企画立案やショップの運用に携わっていれば、言葉だけは聞いたことがあるという方も多いかもしれません。

しかし、香りを活用することでなぜブランディングにつながるのか?という点については、まだ曖昧な方も多いと感じます。そこで本記事では、香りブランディングに期待できる効果から、実際の活用方法・事例まで詳しく解説いたします。

香りブランディングでできること
  • 香りでブランドイメージを記憶
  • 様々なシーンで香りによるブランドの想起を増加
  • 店舗の滞在時間・購入率アップに貢献

香りのブランディングとは?

大前提として「ブランディング」とは、ブランドそのものの価値を高め、提供する消費やサービスを自社独自のものと考えてもらい、他社との差別化を図るものです。では香りを用いると、どのような形でブランディングを行えるのでしょうか?まずは香りのブランディングで期待できる効果について見ていきましょう。

ブランドイメージの香りで記憶してもらう

まず代表的なものとして、独自の香りを用いることで「香り=自社ブランド」と記憶してもらえる効果が挙げられます。心地よいと感じられる香りをチョイスすることで、ブランドへのイメージ向上への期待も持てるでしょう。

そもそも他の五感と比べて、嗅覚は非常に原始的な感覚だとされることをご存知でしょうか?視覚や聴覚は理性を司るとされる大脳神秘質を経て、各種の感覚を司る部位に届けられます。しかし嗅覚は、理性ではなく感情を司るとされる大脳辺縁系にダイレクトに情報が届けられます(※1)。

このことから、香りの記憶は本能的な感情と結びつきやすいと考えられているのです。感情に結び付くことから、香りをかぐことで当時の体験や感情まで思い出させる効果があります。この効果はプルースト効果と呼ばれ、香りマーケティングでは非常に重要な鍵として考えられています。

ブランドの香りに出会う度に、受けたサービスや商品購入時の記憶を思い出してもらえるのです。香りとセットになった記憶がプラスのものであれば、香りに出会う度にブランドへのプラスの印象も高まっていくと考えられるでしょう。

また実際に、インパクトが強い香り(好意的に感じる香り)は、記憶によい影響を与える(※2)という結果も実験によって示唆されています。視覚や聴覚と同じように、嗅覚を刺激する香りもまた、ブランドイメージを高めるために利用できるのです。

ブランドイメージの香りで接点を増やす

上記で触れたように、嗅覚はほかの五感より感情に結び付きやすい感覚であることから、記憶にも残りやすいとされます。このことから、ブランドとは関係ない場所で香りに出会うと、それだけでブランドのことを思い出してもらえるという効果が期待できます。

香りにまつわる記憶がよいものであれば、ブランドを思い出すと同時に、ブランドへの好感度を高めることにもつながるでしょう。

また心理学の考え方に「単純接触効果」というものがあります。これは同じ人・物との接触回数が多いほど、好意を抱きやすいという考え方です。この単純接触効果は、香りに関しても当てはまると実験によって判明しています(※3)。

香りによるブランディングを広めていけば、様々なシーンでブランドの香りと接する機会を増やせます。香りと接する機会が増えれば増えるほど、上記の「単純接触効果」によって、香りやブランドへの好感度を高める期待も持てるのです。

なおブランド特有の香りを作るため、最初に「ブランドセント」と呼ばれる、オリジナルな香りの調合が必要です。今まで香りと関係のない企業では、香りを一から作り出すことは難しいかもしれません。しかし一度香りを定着させてしまえば、香りそのものが広告塔のような役割を果たしてくれるでしょう。

香りでお店に長く滞在してもらう

好ましい香りを用いることで、お客様のショップ滞在時間が長くなるという研究結果があります。ショップに限らず、好ましい香りがする場所では心身ともにリラックスできるため、よい香りの場所では長期滞在したくなるという考えはよく分かるのではないでしょうか。

また滞在期間が長くなるだけではなく、心地よい香りを用いた空間では、使う金額が大幅に高くなったという実験結果も(※4)。

そして購買率に関しても、滞在期間の長さが関係するとした研究結果があるのです。研究を行ったのはJR東日本企画が運営する「jeki駅消費研究センター」。

上記センターが行った「駅ビル回遊行動調査(※5)」では、購買意欲があり滞在期間が短い人より、購買意欲がなく滞在期間が長い人の方が購入率や購入金額が高いという結果が出ました。香りそのものの効果によって購買意欲を高め、かつ、長期間の滞在を促すことでも購入率・購入金額を高くする期待が持てるのです。

香りのブランディング方法4選

香りのブランディングには他社との差別化にとどまらず、実際的な効果も期待できると解説いたしました。効果を把握した後に気になる点といえば、やはり実際にどのようなブランディング方法があるのか?といった点でしょう。ここでは香りのブランディング方法を4つ紹介いたします。

ディフューザーでブランドの香りを使う

最も始めやすい方法が、ディフューザーなどを使ってブランド独自の香りを空間に漂わせる方法です。店内やホテル・企業のロビーなどに香りを拡散させることで、特定の香り=ブランドの香りと認識してもらえるでしょう。

心地よい香りが漂う空間で受けたサービス、または購入した商品に満足してもらうことで、香りを合わせた顧客体験の提供が叶います。ディフューザーを用いる際のポイントは、空間に合わせた拡散力を持つディフューザーを利用することです。

拡散力が低いようでは、お客様に十分に香りを認識してもらえません。一方、濃すぎる香りではかえって不快に感じられてしまう恐れがあります。拡散力を調整できるものや、空間の広さに合わせたディフューザーを選ぶよう注意しましょう。

アメニティーにブランドの香りを使う

ブランド独自の香りをアメニティーにも採用することで、よりブランドの香りを身近に感じることが可能です。持ち帰り可能なアメニティーに香りをプラスすれば、自宅でもブランドの香りを身近に接してもらうことが叶うでしょう。

ブランドの香りに接する時間や機会が長くなるほど、単純接触効果によってブランド自体に好意を持ってもらうことも可能です。

香り付きのお土産を作る

より確実に香りを身近に感じてもらえる方法として、ブランドの香りを使ったお土産を作る方法が挙げられます。一例には以下のようなものが考えられます。

  • お香
  • 香り袋
  • キャンドル
  • ディフューザー

実際にホテルの香りを再現した、アロマディフューザーを見たことがある方もおられるでしょう。香り自体を気に入ってもらうことで、自宅にブランドの香りを取り入れてもらえるのです。また、香り袋のように持ち運べるものであれば、お客様が香りを介して無自覚のうちにブランドの宣伝をしてくれます。

印刷物に香りを付ける

ダイレクトメールに用いるはがきや便せんに、ブランドの香りをまとわせる方法も効果的です。プルースト効果によって、手紙から匂い立つ香りがサービスを受けた際の心地よさ、または商品購入時のわくわくとした楽しい思い出を当時の感情と共に想起させてくれます。

直近で旅行や商品購入の意思がある場合は、香りによって想起されたホテルや企業の製品を選ぶ可能性も向上するでしょう。

ただし印刷物に香りをまとわせる際には、他の郵便物に香りが移りにくくするなど一定の工夫が必要です。考えられる効果が高いからこそ、マイナスイメージにつながらないよう注意してください。

香りのブランディング活用事例

では実際に香りのブランディングを活用した例とは、どのようなものが挙げられるでしょうか?弊社が手掛けた2例をご紹介いたします。

ホテルのスウィートルームへの活用事例

BIO-RESORT HOTEL&SPA O Park OGOSE
2020年3月にオープンした「BIO-RESORT HOTEL&SPA O Park OGOSE」様のスイートルームへ導入いただいた事例です。

ナチュラルなインテリアにほっとするような空間へ、香りからもアプローチすることで、より一層に非日常感を高め「スペシャルな1日」を体験できる空間を実現しました。用いた香りは万人受けしやすい「スパークリング ピンク グレープフルーツ /SPARKLING PINK GRAPEFRUITS」。

なお部屋ごとで香りの濃度を調整することで、香り疲れを起こさせないよう留意しました。

ディフューザーの導入効果

  • 部屋ごとで香りの濃度調整を行い、香り疲れを起こさせない
  • 万人受けしやすい香りで特別な空間の演出をサポート
  • プルースト効果で忘れられない1日を実現

ゴルフショップ様への導入事例

ゴルフミラーレンジ様

企業様が手掛ける中では、初のインドアゴルフ練習場のオープンに合わせて導入いただいた事例です。ショットブースが完全個室であること、等身大のミラーデバイスなどの採用で他にはない練習環境を備えています。

先進的な技術とスタイリッシュなインテリアはもちろん、香りにもこだわることでより他社との差別化を図りたいとのご要望でした。採用した香りは「ビターシトラスグリーン」、ゴルフショップ様のご要望に合わせて調合した、実際のグリーンを思わせるような独自フレグランスです。

またダクト設置型のディフューザーを用いることで、店舗全体にやさしく香りを拡散させることを実現しました。

ディフューザーの導入効果

  • オリジナルアロマでより他社との差別化を実現
  • ダクト設置型のディフューザーで景観の邪魔をしない
  • マイコン操作により適度な香りの濃度にコントロール

まとめ

  • 香りのブランディングは感情に訴えかけるプルースト効果も期待
  • 様々な場所で香りに出会うことで、単純接触効果も
  • ロビーや店内に香らせる以外に、アメニティー・DMなど活用方法もたくさん

今回は香りマーケティングの中でも、ブランディングに特化してスポットを当ててみました。実際のところ、生活をしていく上で「無臭の空間」に出会う可能性は少ないでしょう。特定の香りに対する快不快こそあれ、日常を過ごす中で香りに出会わないというケースはほぼ考えられません。

だからこそ香りにこだわり・活用することで様々な効果が期待できるのです。ただ香りは人によって非常に好みが分かれやすい感覚でもあります。万人受けしやすい香りは?と聞かれて即座に答えられる方は少ないでしょう。

したがってブランディングに香りを用いる際には、どうしても一定の知識や経験が必要です。弊社は創業以来、香りやにおいに対して真摯に取り組んできたプロフェッショナルを多数抱えています。香りブランディングで自社に合った香り、好まれやすい香りを見つけたいと考えるのであれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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