臭気対策ビジネスの現状と今
2006.10.11
カテゴリー:
- 会社経営のこと
臭気対策ビジネスは間口が広く、毎年多くの企業が参入してきます。
多いのが消臭剤を販売する小さい会社。
とある液体があって、もしやと思って薬局でアンモニア水を買ってきて、混ぜてみる。
「ニオイが消えた!これはビジネスになるかもしれない!!!」
なりません。
絶対になりません。
もし、その液体がただの水道水でも同じ位減るし、お酢ならもっと減ります。
ところが、理論も検証もないままに、市場に出てきてしまう。
この業界ほど、理論も検証もないエセ技術がはびこっている業界もそうはないのです。
しかし、ほとんどの企業が数年で消えていきます。
僕はこの業界で飯を食って15年になりますが、世界クラスの大企業も過去何度も本格的参入をしてきました。
だけど、全て撤退するのです。
間口は広いけど、圧倒的な、参入障壁があるからです。
その参入障壁とは何でしょうか。
脱臭は全て物理化学が基礎になっています。
だから、これは大企業の研究者でも理論を立てて開発はできるのです。
エセ技術もたくさんありますが、百歩譲ってきちんとした技術であるとしましょう。
しかし、それを導入する現場の臭気の把握を行うときは、物理化学の技術(要するに分析技術)がまだ全く発展していません。
現場での臭気の判断は分析ではなく、人間の嗅覚が重要なのです。
人間の嗅覚判断は全て記憶によるものです。
人間の嗅覚は映像でも文章でも、絶対に伝えることができません。
レモンを食べたことが無い人に、レモンを食べさせる以外、レモンのニオイを教えることはできないのです。
となると、徹底的に現場に通い、現場で一つ一つの悪臭物質を覚えていく必要があります。
どんな人でも生ゴミが腐ったニオイを生ゴミのニオイとは判断できます。
しかし、それでは脱臭ができません。
その生ゴミ臭気の中に、アンモニアとメチルメルカプタンと硫化水素とアルデヒドと低級脂肪酸臭がどれくらいの割合で入っているかを判断できなければ、脱臭装置も消臭剤も中途半端に終わって結局クレームになります。
原因臭気がわからなければ、臭気対策はできません。
胃痛と腹痛と歯痛と関節痛があるのに、胃腸薬で全てを済まそうとしますか?
アンモニアと硫化水素が混じった独特の臭気は現場で覚えるしかないのです。
嗅覚判断は徹底的に現場で学ぶしかないのです。
新規参入してくる大企業が我が社にどうしても勝てない理由はそこにあります。
若くて優秀な人間を採用し、徹底的に現場で嗅覚判断を鍛えていく。
先行投資と見るか、非効率な投資と見るか。
その答えは我が社が証明していくのです。