キシレン
キシレンは、芳香族炭化水素の一種で、主に塗料、接着剤、印刷インキ、化学製品の溶剤として広く使用されています。さらに、ガソリンやその他の製品にも含まれることがあり、多くの産業においてとても重要な役割を果たしています。
キシレンは私たちの生活の身近なところに存在している有機化合物です。このページではそんなキシレンについて、以下のような内容をご紹介していきます。
このページで解決できること!
☑︎「キシレンとは?利用用途や臭気濃度の強さを紹介!」
☑︎「キシレンの発生場所やその原因まで解説!」
☑︎「キシレンは人体にどのような影響を及ぼすの?」
☑︎「キシレンを含む施設・工場の対策事例をご紹介!」
☑︎「キシレンの特徴や基本情報の一覧でまとめ!」
上記の順番で、キシレンとはどんな物質なのか、さらにはキシレンの臭気対策についても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
キシレンのニオイの特徴と、臭気強度の強さ
参考文献:臭気強度と特定悪臭物質の濃度関係
キシレンの臭気を検知できるようになる数値(臭覚閾値)はそれぞれ、o-キシレン:0.38ppm~・m-キシレン0.041ppm~・p-キシレン0.058ppm~となっており、他の悪臭物質と比較すると臭覚閾値が少し低く、ニオイを強く感じ実際に下記の様なニオイの特徴があります。
甘さと刺激臭が混在している
キシレンは、甘さを含んだ独特の芳香を持つ有機化合物です。また、ベンゼン系の溶剤特有のツンとした刺激臭があるのも特徴です。揮発性が高いので、空気中に放出されるとニオイとして感じられます。
不快感を覚えるほどの強い臭気がある
キシレンの臭気強度は、比較的強い部類に入ります。特に高濃度になると、不快感を覚えることが多いです。
臭気としても苦情になりやすく、一定以上の濃度になると人体への影響もあるため、キシレンは十分な対策が必要な臭気物質です。
キシレンの発生源や排出施設はどこ?
キシレンは、工場のさまざまな工程で使用されるため、幅広い施設で排出される可能性があります。代表的な発生源としては以下のようなものがあります。
塗料・インク・接着剤を製造・使用する工場
キシレンは、塗料やインクの溶剤として使用されるため、これらの生産・使用時に空気中に揮発します。
化学工場
キシレンは、有機溶剤としての用途が多いため、化学工場における各工程で排出されることがあります。
石油精製施設
原油を精製する過程で副産物として、キシレンが排出されることがあります。
キシレンが人体へ影響を与える濃度
キシレンによる健康への影響は、その濃度や吸入する時間によって異なります。キシレンを長時間に渡って嗅ぎ続けると、鼻への刺激をはじめ、頭痛を引き起こすこともあります。
また、妊娠や出産に影響がある化学物質ですので、女性にとっては特に注意が必要です。法律(有機溶剤中毒予防規則)でも規制されており、作業場の環境が管理濃度を超える状態(第3管理区分)になった場合、女性労働者の就業が即刻禁止になるほど注意が必要なのがキシレンです。
以下が、濃度別に見るキシレンの人体への影響です。
項目 |
区分 |
---|---|
急性毒性(経皮) | 区分3 |
急性毒性(経皮) | 区分4 |
急性毒性(吸入:蒸気) | 区分4 |
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 区分2 |
眼刺激性・生殖毒性 | 区分1B |
特定標的臓器毒性(単回ばく露) |
区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)、 区分3 (麻酔作用) |
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | 区分1 (神経系、呼吸器) |
吸引性呼吸器有害性 | 区分1 |
参考文献:職場のあんぜんサイト:キシレン
施設・工場などにおける労働環境では、日本の厚生労働省が定める「作業環境基準」に基づき、適切な管理が求められます。
キシレンの臭気対策について
キシレンの臭気対策で重要なのは、発生源での抑制と、排出後の処理の両面で行うこと。
発生源での抑制においては、キシレンを使用しない低VOC(揮発性有機化合物)製品への切り替えや、換気設備を導入するなどの作業環境の改善などが求められます。排出後の処理においては、主に燃焼脱臭装置や消臭剤マイクロゲルによる対策が有効です。
キシレンの臭気対策事例を紹介

脱臭効率 臭気濃度3,200 → 500 |
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もともとあった工場の周辺500mほどのエリアに新興住宅地が造成されたことにより、地域住民から苦情が発生。
悪臭防止法の規制基準値を超えていたため、行政の改善指導が間近に迫っており早急に臭気問題を解決する必要がありました。
失敗することができない&コストを最小限に抑えたいというご依頼を頂いていたため、臭気アセスメントにより対策の最適化を行い、デモテストにより消臭剤マイクロゲルの効果を検証後に導入することで、臭気の規制基準を満たし最小コストの脱臭装置を選定ができました。
導入後の臭気測定では2つの基準をクリアし、ランニングコストも超低コストに抑えることができました。
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対策臭気 キシレン・切削油臭・フライ臭・料理臭 |
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自動車工場様から製造工程や社員食堂の調理排気で発生する塗装臭・切削油臭・フライ臭・料理臭の4種類の臭気を数値化し環境管理を行いたいというご依頼を頂きました。
今回導入頂いたのは、持ち運び可能なニオイセンサーPOLFA。特徴として自動車業から発生しやすい臭気への感度が高く、換算式を用いることで臭気濃度の簡易的な目安とすることができるため、臭気苦情の回避に適したセンサーです。
また4種類の臭気濃度を簡易的に計測するためには換算式を作成する必要があったため、独自の換算式を作成。排気臭ごとにより、正確な数値を算出することで、環境管理の作業の効率化を行うことができました。
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キシレンのQ&A
Q1:キシレンのニオイを感じたらすぐに健康被害が出てしまいますか?
→低濃度であれば、すぐに健康被害が出るわけではありません。しかし、長時間の吸引は人体への悪影響があるため避けてください。また、強いニオイを感じた場合は、すぐに換気を行いましょう。
Q2:キシレンのニオイを消すにはどうすればいいですか?
→すぐに換気を強化するのが最も簡単な方法ですが、工場などの作業現場においては、脱臭装置の活用をおすすめします。キシレンに効果を発揮する脱臭装置であれば、効率的にキシレンの臭気を脱臭できます。
Q3:キシレンの臭気はどの程度の距離まで広がりますか?
揮発性が高いと臭気になりやすく、工場内での臭気の発生量が多くなります。臭気の発生量が多いと、敷地外まで広く拡散しやすいため、揮発性が高いキシレンは敷地外まで広がりやすい特徴があります。
また気温や風向きによっても異なることと、揮発性が高い物質であっても、最終的に排気される量が他の物質と同じであれば、拡散の様子も他の物質と同じになります。
Q4:ニオイを強さを簡単に確認する方法はありますか?
→ニオイの数値化には様々な手法があります。最も精度の高い方法としては、悪臭防止法の規制基準値に採用されている臭気指数測定を行うことですが、測定に際して費用や時間を要します。
より簡単な方法としては、ニオイセンサーを用いることが挙げられます。キシレン単体の臭いの強さを計測することはできませんが、総量として測定を行うことができます。
キシレンのまとめ
キシレンは、工業用途で広く使用される一方で、強い臭気と健康リスクを伴う有機化合物です。
そのため、施設・工場スタッフの安全を守るためにも、また近隣への影響を抑えるためにも、換気設備の充実や脱臭装置の導入など、発生源での適切な管理と排気処理の強化が大切になってきます。
カルモアでは、これまでにキシレンなどの有機化合物の臭気対策を数多く担当させていただきました。キシレンに対しても、臭気調査をはじめとした効果的な対策を講じることで、安全で快適な環境を維持することが可能です。
もし、キシレンの臭気対策にお悩みでしたら、ぜひ一度当社にご相談いただければと思います。