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におい用語辞典

GLOSSARY

硫化メチル

硫化メチルとは?特性・発生源・健康影響・対策まで徹底解説!

 

硫化メチルは、食品加工・発酵施設・紙パルプ工場・下水処理場など、多くの現場で発生しやすい「特定悪臭物質」のひとつです。

 

「甘いようで腐敗臭を含んだ独特のにおい」「キャベツが腐ったような臭気」などと形容されることが多く、近隣からの苦情や作業環境の悪化につながるケースが多い物質です。

 

このページではそんな硫化メチルについて、以下のような内容をご紹介していきます。

このページで解決できること!

「硫化メチルとは?利用用途や臭気濃度の強さを紹介!」

「硫化メチルの発生場所やその原因まで解説!」

「硫化メチルは人体にどのような影響を及ぼすの?」

「硫化メチルを含む施設・工場の対策事例をご紹介!」

「硫化メチルの特徴や基本情報の一覧でまとめ!」

 

上記の順番で硫化メチルとはどんな物質なのか、さらには硫化メチルの臭気対策についても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

硫化メチルのニオイの特徴と、臭気強度の強さ

硫化メチルの臭気の強さ

参考文献:臭気強度と特定悪臭物質の濃度関係

 

硫化メチルは、硫黄系ガスの中でも特に “甘さと腐敗臭が混ざった独特のニオイ” を持つ悪臭物質です。「腐ったキャベツのようなニオイ」傷んだ野菜に甘みが混ざったようなニオイ」「生ゴミのような発酵臭」など例えられることが多いです。

 

特徴的なのは、「感知閾値が極めて低いこと」。つまり、人が“臭い”と感じる濃度が非常に低いため、わずかな量でも臭気問題になりやすい物質です。実際、排気口から離れた住宅地までニオイが届いてしまい、「気持ち悪い」「窓が開けられない」といった苦情につながる例も全国で報告されています。

 

さらに、硫化メチルは他の硫黄化合物(メチルメルカプタン、硫化水素など)と混ざることでより強烈な複合臭を形成するため、臭気による不快感が倍増するケースもあります。

その特性から、悪臭防止法でも「特定悪臭物質22種」の一つとして規制の対象となっています。臭気が広がりやすく、感じやすく、苦情につながりやすい。これが硫化メチルの厄介な点です。

 

硫化メチルの発生源や排出施設はどこ?

硫化メチルが発生する施設・工場

参考文献:環境省

 

硫化メチルは自然界にも存在する物質ですが、工場・処理施設などの人工的な環境では濃度が高くなりやすく、悪臭として問題化しやすい傾向があります。代表的な発生源を種類ごとにわかりやすく解説します。

 

食品加工・発酵施設(野菜加工・漬物・発酵食品など)

植物性原料の分解・発酵過程で硫化メチルが発生します。特にキャベツ・玉ねぎ・ブロッコリーなど硫黄を多く含む野菜を扱う工場では発生しやすく、カット・破砕・加熱・発酵の各工程で排気中に硫化メチルが含まれることがあります。

 

作業環境が温かいほど発生量が増えるため、夏場は臭気の強さが顕著になりやすい点も問題です。

 

紙・パルプ工場

木材成分の分解時に、硫黄系ガスとして硫化メチルが生成されます。クラフトパルプ工場の排気は大量で、適切な処理がされていない場合、周辺地域へ広範囲に臭気が拡散するケースが多くあります。行政指導の対象になりやすい業種の一つです。

 

下水処理場・し尿処理施設

下水中の有機物が酸素の少ない環境で分解される過程で、硫化メチルやメルカプタン類が発生します。開放槽が多い施設では、気温・攪拌状況により臭気の濃度が急上昇し、作業者の負担にも直結します。

 

硫黄系ガスは腐敗臭の中心成分になりやすく、複合臭として強烈な刺激臭を発します。

 

ゴミ処理場・コンポスト施設

生ごみや有機廃棄物の分解過程で大量の硫化メチルが発生します。特にコンポスト槽・破砕工程・搬入ピット周辺では濃度が高く、施設外部への拡散が問題化しやすい環境です。

 

水産加工工場・動物性飼料工場

魚介類を加熱すると含硫アミノ酸が分解され、硫化メチルが発生します。魚粉・ペットフード・水産飼料の製造工場で臭気の中心成分として検出されるケースも多く、悪臭苦情の原因になりやすい物質です。

 

このように、硫化メチルは非常に多くの業種で自然に発生する性質を持つため、「どの施設でも問題化しやすい臭気成分」と言えます。

 

硫化メチルが人体へ影響を与える濃度

健康に対する有害性

区分

眼刺激性

区分2B

参考文献:職場の安全

 

二硫化メチルは非常に低濃度から強い悪臭として感知される物質ですが、健康影響が出る濃度はそれよりも高いレベルです。ただし、強烈な刺激臭のため、不快感や身体症状が“ニオイの段階”で現れやすい点が特徴です。

 

短時間であっても、二硫化メチルが漂う環境では「目がしみる」「鼻の奥がツンとする」「のどに刺激を感じる」といった粘膜刺激が発生しやすく、敏感な方では軽い吐き気や頭痛を訴えることがあります。

 

長時間の曝露や高濃度の場合は、呼吸器への負担が大きくなり、咳や呼吸のしづらさが生じるケースも確認されています。

 

また、二硫化メチルは硫黄系の強い揮発性ガスであるため、密閉された空間では濃度が上がりやすく、作業者の負担が蓄積しやすい点も見逃せません。

 

特に注意すべきなのは、二硫化メチルを単独で吸入した場合だけでなく、メチルメルカプタンや硫化水素など他の硫黄系ガスと混ざった状態で曝露されるケースです。

 

複合臭として刺激感が強まり、より不快感が増加し、心理的ストレスも大きくなります。作業現場では濃度の変動が激しい場所もあるため、定期的な臭気測定や作業者の体調チェックが欠かせません。

 

二硫化メチルは苦情になりやすい物質のため、臭気チェックや管理や換気システムの強化など、現場ごとの対策が求められます。

 

硫化メチルの臭気対策について

硫化メチルの臭気対策では、「発生させない」「広げない」「処理する」という3つの観点を総合的に組み合わせることが有効です。まず発生源での対策としては、臭気が強くなりやすい工程(発酵、乾燥、加熱、分解など)の密閉化や、排気ルートの見直しが基本となります。

 

特に食品工場や堆肥化施設などは温度によって発生量が大きく変わるため、工程管理や設備の温度管理を徹底するだけでも臭気が大幅に改善される場合があります。

 

また、排気の取りこぼしを防ぐために局所排気設備(スポット換気)の設置や、換気量の不足を補うための換気強化も重要です。

 

排気処理の段階では、硫化メチルの性質に適した脱臭装置を選定することがポイントになります。活性炭吸着式は比較的シンプルに導入でき、低濃度排気の現場で一定の効果が期待できますが、硫黄化合物は飽和しやすいため交換頻度に注意が必要です。

 

化学洗浄(スクラバー)では酸化剤を用いることで硫化メチルを分解でき、濃度変動が大きい現場でも安定した処理性能を維持できます。

 

さらに、プラズマ脱臭装置は硫黄系臭気物質への分解効率が高く、省エネ性・ランニングコストの低さ・温度変動への強さなどから、工場施設で採用が増えている方式です。

 

カルモアでは現地で臭気調査やシミュレーションを行い、施設の特性に合わせた最適な対策方法をご提案しています。硫化メチルは特に拡散しやすく周辺から苦情が発生しやすい物質のため、早めの対策がトラブル防止のためにも重要です。

 

硫化メチルのQ & A

ここでは、二硫化メチルに関して寄せられる代表的な質問をまとめました。基本的な性質から対策のポイントまで、ぜひチェックしてみてください

 

Q1:硫化メチルのニオイを感じたらすぐに健康被害が出てしまいますか?

→硫化メチルは強い腐敗臭を持つため、ニオイを感じた瞬間に「体に悪いのでは?」と不安になる方も多いですが、低濃度の段階で深刻な健康被害が起きることは多くありません。ただし、刺激が強いため、目・鼻・のどへの不快な刺激、軽い頭痛、吐き気などが発生することはあり、敏感な方では短時間でも体調に影響が出る場合があります。

 

また、硫黄系ガス特有の不快臭のため、長時間ニオイが続くと強い心理的ストレスを感じやすく、集中力の低下や倦怠感にもつながる可能性があります。臭気が継続する環境にいることは望ましくないため、早めに換気・発生源の確認・必要に応じた専門的な対策が推奨されます。

 

Q2:二硫化メチルのニオイを消すにはどうすればいいでしすか?

→硫化メチルは揮発性が高く、臭気自体が広がりやすい性質があるため、単純な換気だけでは解決しないケースが多い物質です。まずは換気によって空気を入れ替えることが基本ですが、継続的に発生する現場では発生源を特定し、工程を密閉化する・局所排気を設けるなどの対策が効果的です。

 

Q3:硫化メチルの臭気はどの程度の距離まで広がりますか?

→硫化メチルは他の揮発性硫黄化合物(VSC)と同様に非常に飛散性が高く、風向き・気温・湿度・排気口の高さなどの条件次第では数百メートル先まで拡散するケースもあります。特に紙パルプ工場・食品加工工場・コンポスト施設では、近隣の住宅地から「甘く腐敗した臭いが漂う」といった苦情が持ち上がることも珍しくありません。

 

また、他の硫黄系ガスと混ざることで臭いが強調され、実際の濃度以上に悪臭が広がっているように感じられる点も特徴です。

 

Q4:硫化メチルのニオイを簡単に数値で確認する方法はありますか?

→ニオイの数値化には様々な手法があります。最も精度の高い方法としては、悪臭防止法の規制基準値に採用されている臭気指数測定を行うことですが、測定に際して費用や時間を要します。

 

より簡単な方法としては、VOCセンサーやニオイセンサーを用いることが挙げられます。VOCセンサーであれば硫化メチルに対して対象ガスの濃度を測定することが可能です。ニオイセンサーは対象ガスを複合ガスとして総量として測定を行います。

 

ニオイという複合ガスに対する測定としてはニオイセンサーがオススメですが、用途や目的に応じて測定方法を選定いただくことが望ましいです。

 

硫化メチルのまとめ

硫化メチルは、非常に低濃度でも強い悪臭として感知される特定悪臭物質であり、多くの工場・処理施設・発酵現場で発生する物質です。苦情や行政指導に発展しやすいだけでなく、作業環境の悪化にもつながるため、発生源の管理と排気処理の両面からの対策が欠かせません。

 

カルモアでは、これまでに有機化合物の臭気対策を数多く担当させていただきました。硫化メチルに対しても、臭気調査をはじめとした効果的な対策を講じることで、安全で快適な環境を維持することが可能です。もし、硫化メチルの臭気対策にお悩みでしたら、ぜひ一度当社にご相談いただければと思います。

 

 

CH3SCH3。 分子量62.14、沸点37.5℃、融点-83.2℃、比重1.057、腐ったキャベツのようなにおいで、薄い場合は磯の香りを連想させる。検知閾値は0.00012ppmとされている。 特定悪臭物質に指定されており、敷地境界規制基準の範囲は0.010~0.2ppmである。 主な発生源としてパルプ製造工場、化製場、し尿処理場等がある。

 

 

 

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