トリメチルアミン
トリメチルアミンは、腐敗した魚や内臓のような、非常に強い生臭さを放つ揮発性の窒素化合物です。悪臭防止法では「特定悪臭物質」として指定されており、魚介類や動物性原料を扱う現場では特に発生しやすく、周辺環境への影響が問題視されるケースも少なくありません。
この記事では、トリメチルアミンについて、以下のような内容をご紹介していきます。
このページで解決できること!
「トリメチルアミンとは?利用用途や臭気濃度の強さを紹介!」
「トリメチルアミンの発生場所やその原因まで解説!」
「トリメチルアミンは人体にどのような影響を及ぼすの?」
「トリメチルアミンを含む施設・工場の対策事例をご紹介!」
「トリメチルアミンの特徴や基本情報の一覧でまとめ!」
上記の順番で、トリメチルアミンとはどんな物質なのか、さらにはトリメチルアミンの臭気対策についても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
トリメチルアミンのニオイの特徴と、臭気強度の強さ
参考文献:臭気強度と特定悪臭物質の濃度関係
トリメチルアミンの臭いを検知できるようになる数値(臭覚閾値)は0.000032ppmとても低いため、少量でも臭いを感じやすく苦情に繋がりやすい臭気となります。
トリメチルアミンのニオイは、「腐った魚」「魚の内臓」「干物の生臭さ」などと例えられることが多く、人が不快に感じやすい強烈な臭気です。わずか数ppbという極低濃度でも感知されるほどの臭気強度を持ち、その拡散性の高さから、近隣住民への影響や苦情につながることもあります。
施設内ではすぐに気づかないような濃度であっても、外部でははっきりと臭気を感じられる場合があるため、排気設備や換気構造によっては注意が必要です。特に、開放的な施設構造や風向きの影響を受けやすい場所では、想定以上にニオイが広がってしまうこともあります。
トリメチルアミンの発生源や排出施設はどこ?
トリメチルアミンは、魚介類や動物性たんぱく質が加熱・分解される過程で生成されます。以下のような施設では、工程や環境条件によって高濃度で発生する可能性があります。
水産加工工場
水産加工工場では、内臓や血合いの処理、加熱や乾燥の工程においてトリメチルアミンが発生しやすくなる。
廃棄物処理・リサイクル施設
食品系の廃棄物を処理・堆肥化する現場では、動物性の原料が腐敗・発酵することでアミン類が発生することがある。
動物性飼料の製造工場
魚粉や肉骨粉などの原料を加熱・乾燥させる飼料製造工場では、加熱中にトリメチルアミンがガス化し、排気とともに大気中へ放出されることがある。
下水処理施設・し尿処理場
有機物を多く含む下水やし尿が処理・分解される過程で、アミン系のにおいが発生するケース。
医薬品や化学品の製造工場
化学合成や中間体の製造過程で、副生成物としてトリメチルアミンが発生するケース。
このように、トリメチルアミンは比較的多くの業種に関連しており、排出源となり得る施設も多岐にわたるという特徴を持っています。
トリメチルアミンが人体へ影響を与える濃度
トリメチルアミンは、そのニオイの刺激性の高さから、低濃度でも目やのどへの刺激を感じることがあります。強いニオイを長時間吸い続けると、吐き気や頭痛などを引き起こすこともあり、作業環境における管理が重要です。
短期的な影響としては、目や鼻、のどの刺激、吐き気、頭痛などの症状が報告されています。
長期的な影響では、呼吸器系への慢性的な負荷や、精神的ストレスの蓄積につながる可能性もあります。以下が、濃度別に見るトリメチルアミンの人体への影響です。
項目 |
区分 |
---|---|
急性毒性(経口) | 区分4 |
急性毒性(経皮) | 区分外 |
急性毒性(吸入:ガス) | 区分4 |
急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 |
急性毒性(吸入:粉じん、ミスト) | 分類対象外 |
皮膚腐食性・刺激性 |
区分1A |
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 | 区分2B |
呼吸器感作性 | 分類できない |
皮膚感作性 | 分類できない |
生殖細胞変異原性 | 分類できない |
発がん性 | 分類できない |
生殖毒性 | 区分外 |
特定標的臓器・全身毒性 (単回ばく露) |
区分3(気道刺激性) |
特定標的臓器・全身毒性 (反復ばく露) |
区分2(呼吸器) |
吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
参考文献:職場のあんぜんサイト:トリメチルアミン
揮発性が高く、密閉空間では濃度が上がりやすいため、換気対策と併せて定期的な濃度測定がおすすめです。臭気チェックや管理や換気システムの強化など、現場ごとに最適な対策を行っていきましょう。
トリメチルアミンの臭気対策について
トリメチルアミンの対策には、「ニオイを出さないための工程改善」と、「排出されたニオイを処理する脱臭装置導入」の両方が重要です。
発生源の対策としては、原料や廃棄物をできるだけ速やかに処理し、腐敗や発酵の進行を抑えることが基本です。また、加熱や乾燥の工程では密閉性を高めるほか、局所排気フードを設置して空間への拡散を防ぐ方法も効果的です。
排気処理としては、塩基性の臭気のため、酸性の薬剤を用いた消臭剤噴霧装置やスクラバーといった脱臭方法が広く使われています。
特に消臭剤噴霧装置であれば、臭気の状況に合わせてON/OFFがしやすいため、比較的にランニングコストを抑えることができます。
またカルモアでは脱臭装置の導入以外にも、臭気測定から脱臭装置の選定・導入支援、メンテナンスなどのアフターサポートまで一貫してサポートしています。
トリメチルアミンの臭気対策事例を紹介
脱臭効率 臭気濃度32,000 → 5,000 |
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トリメチルアミンの臭いは臭覚閾値が高い低いため、近隣からの苦情が寄せられやすい施設です。
今回、当社では最適な、脱臭対策と必要な脱臭効率を導き出す「臭気アセスメント」から、その調査結果にもとづき消臭剤マイクロゲルの噴霧装置を導入させていただき、無事に近隣からの臭気苦情を解決することができました。
この記事では、事例の詳細についてご紹介していきます。
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染物の糊(ノリ)を製造する工場の工場移転に伴い、移転先の新設工場デモ臭気苦情が発生する可能性がありました。
しかし、新設工場ではなるべく安く対策したいとご依頼を頂いていたので、臭気アセスメントで対策を絞りこむことで最小限の対策に抑えることができました。
脱臭装置を導入せず低コストで対策を達成し、移転後長期にわたり苦情は発生していません。
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トリメチルアミンのQ&A
Q1:トリメチルアミンのニオイを感じたらすぐに健康被害が出てしまいますか?
→低濃度であれば直ちに健康被害は出ませんが、長時間の曝露や密閉空間での作業では不快感や軽い刺激症状が出る可能性があります。
Q2:トリメチルアミンのニオイを消すにはどうすればいいでしすか?
→局所換気や強制排気による空気の入れ替えが効果的です。継続的な対策としては脱臭装置の導入が推奨されます。
Q3:トリメチルアミンの臭気はどの程度の距離まで広がりますか?
→風向きや気象条件によって異なりますが、開放環境下では現地から遠く離れた地点でもニオイが感じられることがあります。
Q4:トリメチルアミンのニオイを簡単に数値で確認する方法はありますか?
→ニオイの数値化には様々な手法があります。最も精度の高い方法としては、悪臭防止法の規制基準値に採用されている臭気指数測定を行うことですが、測定に際して費用や時間を要します。
簡単に数値で確認する方法としては、検知管による物質濃度(ppm)測定があります。測定結果と嗅覚閾値と照らし合わせることでおおよその臭気濃度を推定できます。
トリメチルアミンのまとめ
トリメチルアミンは、極めて低濃度でも強い生臭さを放つ特定悪臭物質であり、排気管理が不十分だと、施設内の作業者の健康や地域との関係にまで影響を及ぼす可能性があります。
特に、水産加工や飼料工場、下水処理場などでは、ニオイの強さと発生頻度の両面で注意が必要です。
カルモアでは、これまでに有機化合物の臭気対策を数多く担当させていただきました。トリメチルアミンに対しても、臭気調査をはじめとした効果的な対策を講じることで、安全で快適な環境を維持することが可能です。
もし、トリメチルアミンンの臭気対策にお悩みでしたら、ぜひ一度当社にご相談いただければと思います。