工場の臭気対策とは(臭気測定・脱臭装置選定・悪臭苦情解決など)
工場設備・環境管理・プラントエンジニアリング などのご担当者様に向けて…
※対策の外注を検討されるご担当者様に向け、「業者選びのポイント」等も説明しております。
空気環境対策30年、累計対応90,000件超えのカルモアが解説
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工場臭気対策のフローとポイント
「低コスト」で「失敗の無い」臭気対策を実現するには、順序だてたフローを踏み、フェーズ毎の重要ポイントを押さえることが欠かせません。
【各フェーズにおける重要ポイント】
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ニオイの状況把握
・臭気測定・分析
・臭気指数
・臭気濃度
・拡散シミュレーション
・OER調査
・周辺捜査 -
正しい目標値設定
・対策優先順位付け
・必要脱臭効率算出
・悪臭支配率分析 -
装置・対策選び
・脱臭装置の選定
・デモテスト
・対策装置の設計・概算
・対策装置の製作
・脱臭装置以外の対策提案
・拡散シミュレーション -
規制・基準の理解
・悪臭防止法
・臭気指数規則
・特定悪臭22物質規則
・1号基準・2号基準・3号基準
・改善方法提案
以下、各ポイントの詳細、そして臭気対策の方法 についてご説明します。
なお、これら重要ポイントを盛り込んだ対策の「具体的な手順」は以下です。
工場のニオイ問題にはこんなものがあります
このページでは、以下のようなお悩みをお持ちの方に解決策や業者選びのポイントをご紹介しています。
悪臭苦情が発生しているが、何から始めたら良いかわからない
臭気発生源が多すぎて、どこから手をつけるべきかわからない
脱臭装置があるのに苦情が収まらず困っている
無駄なコストをかけずに、苦情解決をしたい
色々な脱臭装置・設備を比較検討しているが、決めかねている
だいたいの対策方法は決めたが、この方法で苦情解決になるか心配
設備導入の前に、効果を確かめたい(デモテスト、拡散シミュレーション)
自工場に適用される規制について知りたい
これから新設する工場で、苦情が発生しない臭気対策を設計したい
臭気対策《4つのポイント》を解説 !
対策ポイント01. におい排出状況の把握
ニオイの対策の難しい点は下記2点です。
①目に見えない事
②人間の感覚である為定量が難しい事
これらを解決する手法としては
①目に見える形にする(→ 視覚化)
②人間の感覚を定量化する測定手法を用いてニオイを数値化する(→ 臭気指数測定)
上記を行う手法として有効なのが臭気拡散シミュレーションによる視覚化と嗅覚測定による臭気指数の算出、及びO.E.R(臭気排出強度)の把握です。
これらを行う手法を下記に纏めます。
においの状況を把握する《データ視覚化、定量化》手法
- 嗅覚測定による臭気指数、臭気濃度の把握
- 悪臭苦情への影響度分析:OER(臭気排出強度)など
- 臭気拡散シミュレーションによる可視化、対象地点での影響度の把握と必要な脱臭効率の算出
においの排出状況を把握する事が出来れば脱臭装置や対策にかかる費用が1ケタ違ってきます。
「どんな臭気を」「どれぐらいの強さで」「どれくらいの範囲で」排出しているのか?
また、「どの発生源が多く寄与しているのか」
これらを数値化して整理する事で対策方法が見えてきます。
1.臭気測定(嗅覚測定)による臭気指数・臭気濃度の把握
人間の感覚である『臭気』を定量化する手法として『三点比較式臭袋法 』という方法があります。
これは悪臭防止法で定められている規制基準値の算出方法として用いられている方法です。
この測定方法を用いて『臭気指数』や『臭気濃度』を算出します。
臭気指数と臭気濃度は対の概念です。後述で詳しく解説いたします。
まずは、臭気指数を理解するよりも臭気濃度を理解する方が簡単なので、臭気濃度について説明いたします。
✔ 臭気濃度と臭気指数について
臭気濃度はあるニオイ(ガス)を何倍に薄めたらわからなくなるかという値です。
つまり1,000倍希釈してわからなくなるニオイであれば臭気濃度1,000となります。単位はありません。
測定方法は、無臭の袋3つを用意し、3つの袋の内1つの袋の中に任意の希釈倍率になるようニオイをガラスの注射器で注入します。
3つの内どれにニオイが入っているかわからない被験者(ニオイを嗅ぐ人=パネラーという)に3つの袋を嗅いでもらい、ニオイがわかるかどうか回答してもらいます。
ニオイが入っている袋を当てた場合、もっと薄い希釈倍率で試験します。
外れた場合はその時点での希釈倍率が臭気濃度になります。
公定法測定ではこれを6名のパネラーで実施し、統計処理してそのニオイの臭気濃度を算出します。
6名の理由は統計学上感覚値が平均化される為です。
算出された臭気濃度に対して対数値を掛け、10倍した値が『臭気指数』です。
臭気指数 = 10×Log(臭気濃度)
計算例:臭気濃度1,000の場合、臭気指数は30。(対数3を10倍して30。)
臭気濃度はあくまでも希釈倍率、臭気指数は感覚値に近づける為、と覚えておくと良いと思います。
規制基準値は臭気指数で設定されています。
臭気測定について下の動画にて詳しく解説を行っております。
とてもわかりやすく解説されておりますのでご参照下さい。(臭気指数についての解説は、3:34 辺りです。)
臭気苦情が発生したらまずこれをやるべき
臭気測定は大抵の場合、現場で臭気ガスをバッグにサンプリングして測定を行います。
以下に、臭気対策をゴールに据えた場合の臭気測定について失敗例を挙げます。
測定データが実際のニオイ排出状況を正しく捉えたものでないと、装置導入後も住民苦情が収まらなかったり、追加対策等で高額の装置を導入することになりかねません。
気を付けるべきポイントを押さえて失敗のリスクを減らしましょう。
❮❮ 臭気測定でよくある失敗例 ❯❯
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- 臭気のピーク(一番強いタイミング)で測定していない。
- 測定箇所が陰圧の場合、希釈エアーが混入してしまい実態よりも低い値になっている。
- 水分や粉塵、高温排気など条件に合った測定方法を選定していない。
- 採取後の臭気の保管方法が統一されていない。
- 測定に際して精度管理を徹底できていない。(測定結果にブレが大きい)
- 物質濃度測定しかしていない。(臭気指数/濃度データがない)
ニオイの定量化についての方法としてもう一つ、物質濃度(例えば、特定悪臭22物質)により把握する方法がありますが、悪臭苦情を解決するという点においては、分析装置よりも人間の鼻の方が優れています。
理由は、人間の鼻の方が判別できる物質種類が圧倒的に多い事、及び機械の定量下限値よりももっと薄い濃度で感じる事が出来る事です。
この理由により、におっているのに物質が検出されないという事態はよくあります。
ただ、所在する自治体が物質濃度を規制基準としている(特定悪臭22物質規制)など、物質濃度の把握が必要な場合もありますので、物質濃度における測定方法については 規制基準に関する項 にて後述しております。
2.悪臭苦情への影響度分析:OER(臭気排出強度)など
臭気濃度や臭気指数の測定を終えたら、そのニオイ発生源が実際に、
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- どれぐらいの量の臭気を排出していて、
- どれぐらいの影響度があるのか、
を数値化して分析します。
この考え方が、悪臭苦情を解決するためにとても重要なポイントとなり、対策失敗を回避するカギとも言えます。
例えば、
「ニオイが強烈で小風量の排気口」
「ニオイの強さはそうでもないけれど大風量の排気口」
どちらを優先的に対策すべきでしょうか。
答えは、「悪臭苦情への影響度が強い排気口から対策」すれば良いとなります。
カルモアでは、この悪臭影響度分析にいくつかの手法を用いますが、手法の一つに、臭気排出強度(Odor Emission Rate; O.E.Rと訳される)があります。
臭気排出強度(OER)=臭気濃度×排気風量(m3/min)
臭気排出強度(OER)は、臭気をボリュームで把握するのに有用です。
周辺へのニオイの影響度がわかると、そのまま対策優先順位となる事から
『どこから手をつけたらよいかわからない!』といった問題は解決されます。
また、影響度の高い排出口から優先的に対策を行うことで、対策コストの削減にもつながります。
3.臭気拡散シミュレーション
臭気拡散シミュレーションは目に見えない臭気を視覚化する、非常に便利な手法です。
恐らく、これからの臭気対策のスタンダード手法になっていくのではないでしょうか。
前述の臭気濃度等の測定結果を用いて、ニオイの広がりをコンピュータ予測=シミュレーションします。
シミュレーションを行う事で下記がわかります。
①排出臭気の影響範囲
②対象地点での着地臭気濃度
③場内や敷地境界での着地臭気濃度
④臭気発生源での必要な脱臭効率(必要脱臭効率)
⑤脱臭装置導入前後の影響予測
⑥排出方法を変更した場合の影響予測と脱臭装置以外の対策方法の模索
拡散シミュレーションを行うことで、対峙している臭気問題の課題がかなり鮮明化します。
現在の影響度はどれぐらいなのか、苦情発生地点での着地臭気濃度はいくつなのか、、、などが明確になり、逆算して排気口での必要な除去率(脱臭効率)がわかります。
あとは、必要な脱臭効率が達成できる対策案や装置を選定するだけでOKです。
拡散シミュレーションでは、対策導入前に「この脱臭装置を導入したら、どれくらいニオイ拡散が抑えられるのか」などの仮説をシミュレーションできるため、
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- 能力不足の装置を導入して失敗するリスクを未然に防ぐ、
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- 必要以上のオーバースペックな脱臭装置を選定するリスクを回避する、
などが可能となり、設備コストの削減にも寄与します。
また、脱臭装置以外の対策方法についても検証できる点がメリットです。
カルモアでは、脱臭装置以外の対策方法(例えば、排気口の位置や高さの変更など)も組み合わせてシミュレーションソフトを最大限活用し、お客様にとってより安価な対策を模索します。
【カルモア臭気拡散シミュレーションの実例】
※検討・計画している対策方法ごとに、どのようにニオイ拡散が抑制されるか、一目瞭然で予測ができます。
においの拡散をシミュレーションするソフトについては、環境省でも無料ソフトが配布されています。
【参考】においシミュレーター(臭気指数規制第2号基準算定ソフト)/環境省HP
この「においシミュレーター(環境省・無料)」は主に、悪臭防止法の排出口での規制基準値(2号規制値)を自動計算するために開発されました。
そのため、2号規制の算出には有用ですが、悪臭苦情対策に向けた拡散シミュレーションには若干不十分、というところがあります。
たとえば、発生源が15m未満の場合に計算条件が簡易化されてしまったり、建屋が1つしか設定できず影響度の評価精度が落ちる、1方向しか分析できずマップ化に限界がある、などの点です。
無料というメリットの一方、高額な脱臭装置を検討する場合や、悪化した住民苦情を解決したい場合などは、しっかりとしたシミュレーションを実施することをお勧めします。
臭気拡散シミュレーションは、カルモアが業界トップレベルの精度を誇るサービス分野でもありますので、ぜひ手遅れになる前に、お気軽にご相談いただけますと幸いです。
臭気拡散シミュレーションシステムKaLmoS
臭気対策30年のカルモアが独自に開発したシステムです。業界トップレベルの圧倒的精度を誇り、臭気指数計算のみならず、苦情解決策の設計を得意とします。
においシミュレーター(環境省配布)をはるかに超える精度と現実性で、悪臭苦情の回避・解決、無駄と失敗のない脱臭装置の設計、悪臭防止法の規制対応を実現します。
※他社製脱臭装置の効果測定や工場移転前の設備計画設計のご相談も承ります。
上述のにおいの状況を把握する《視覚化、定量化》手法については、カルモアにて「臭気アセスメント」というサービスで一貫して行う事が可能です。お困りの際はお気軽にご相談ください。
臭気アセスメント(工場臭気対策)
臭気発生源での臭気を定量化し、どこまで低減すれば苦情は無くなるのか(目標値設定)、どの脱臭装置が最適なのか(対策提案)…など、ニオイを可視化し、理論的に解決致します。
カルモア独自開発の臭気拡散シミュレーションは、必要な脱臭効率の把握やそれに伴う対策ご提案、また脱臭装置に頼らない臭気対策まで幅広くご提示する事が可能です。 対策前に苦情解決達成の目途を立て、過剰コストの装置、あるいは能力不足の対策技術を導入するリスクを回避します。
対策ポイント02. 装置・対策 選び
臭気排出状況を把握し、脱臭装置や対策に必要なスペック(必要脱臭効率や使用環境など)が明確になれば、脱臭装置の選定・対策の立案はとても簡単です。
一般的な脱臭装置(工場向け)の例と、比較方法
工場向けの対策装置としては、以下の種類が一般的です。
❮❮ 工場の一般的な脱臭装置例 ❯❯
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- 【消臭剤・薬剤】 排気ダクト内スプレー装置、スクラバー装置 など
- 【物理吸着】 活性炭脱臭装置、セラミックフィルター脱臭装置 など
- 【燃焼法】 蓄熱式燃焼装置、触媒式燃焼装置 など
- 【バイオ】生物脱臭装置 など
※上記はあくまでも簡易的な比較です。使用する環境等により得られる脱臭効率は大きく異なります。
上の図は脱臭装置の種類毎に得られる脱臭効率を比較したものです。
図では燃焼装置が1番脱臭できる脱臭装置ですが、何でも燃焼装置で解決するかというとそうではありません。脱臭装置は得られる脱臭効率が高ければ高いほど費用も高額になりますので図の脱臭装置の中では燃焼系脱臭装置が最も高額になります。
どうしても排出口から住宅エリアが近くて排出口で大きくニオイを低減させないといけない時や排出臭気が強すぎる場合などにおいては有効と言えるでしょう。
逆に消臭剤噴霧は得られる脱臭効率は比較的低いですが苦情エリアが離れている(3~400m先など)や他の対策方法との組み合わせにより必要な脱臭効率が低い場合には有効と言えるでしょう。
脱臭装置は必要な脱臭効率がわかれば必要最低限で選定する事が可能です。
対策予算、排出臭気の種類、排出状況(温湿度・風量など)によって、最適な対策方法(脱臭装置)は異なりますので対策案や装置の比較検討にあたっては、以下のような比較表を組み、数種類の選択肢から判断するとよいでしょう。
❮❮ 脱臭装置検討における比較例 ❯❯
表をクリックするとPDFが開きます。
『失敗しない装置選び』を実現する為装置導入前に、下記二点の実施を推奨致します。
✔ 実際の排出臭気によるデモテストで、装置の効果を確認する
✔ 拡散シミュレーションにより、周辺への効果を予測する
設備・装置の業者に、導入前にこの2点を依頼すると良いでしょう。
脱臭装置は高額です。
カルモアでは、「(他社で)装置を導入したのに苦情が収まらない」というご相談を頂くことが多々ありますので、ぜひ導入前にリスク回避の予防策を取られることをおすすめします。
脱臭効果を高める付帯設備
また、脱臭効果を高めるには、脱臭装置の設置のみだけでなく、付帯する設備の改善も効果的です。
工場の立地や排出条件、周辺環境によっては脱臭装置に頼らない対策方法も実現可能です。
この辺りの可能性についても事前に確認できると良いと思います。 以下は付帯設備の改善例です。
❮❮ 脱臭効果を高める付帯設備の改善例 ❯❯
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- 煙突の排出方法変更
- 排気口の位置の変更
- 建屋漏洩箇所の封じ込め
- 排気前の希釈エアー導入
- 排気ダクトの形状
- 局所排気による建屋内の環境改善
- 製造工程の改善 など。
工場向けの脱臭装置について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
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(PDFファイルが開きます) |
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対策ポイント03. 規制の理解
典型7公害の一つに分類される悪臭は悪臭防止法という法律で規制されており、(一部例外を除き)悪臭を排出する全ての事業所が規制対象となります。
規制方法については、国が定める悪臭防止法の他に、各地方自治体が独自で定めている場合もあり、地方自治体独自で規制を定めている場合にはそちらに準じます。
規制基準
規制基準には、臭気指数と特定悪臭22物質(後述にて解説します)の2通りがあり、どちらで規制が設けられているかについては自治体により異なるため、各行政のホームページ等で確認します。
近年は、臭気指数を採択する自治体が増加しています。
規制基準=【臭気指数】or/and【特定悪臭22物質の濃度】
✔ 規制基準について確認する事
①自分の事業所が臭気指数と特定悪臭物資のどちら(もしくは両方)で規制されているかを確認する
②自分の事業所の用途地域を確認する
③用途地域に対する敷地境界での規制基準値を確認する
④排出口での規制基準値を確認する(←最も難しい部分)
※引用元:「よくわかる臭気指数規制2号基準」(環境省・平成28年度改定版)
規制対象(規制がかかる場所)
悪臭防止法で規制対象となるのは、以下の3か所です。
規制の場所 | 規制区分 | 規制の内容 |
地境界線上 | 1号規制 | 敷地境界線での管理濃度、明確な数字でいくつと定められています。 |
排気口 | 2号規制 | ニオイの排出規制、明確な数字で定められている場合もあるが、臭気指数規制は簡易シミュレーションソフト、特定悪臭22物質による規制は排ガス流量計算を用いて算出する方が多い。 |
排出水 | 3号規制 | 排出の臭気の強さに関わる基準。基準値は1号規制+16=3号基準。 |
この中で、排出口の規制基準(2号規制)だけは規制値が明示されておらず、ご自身で計算(シミュレーション算出や排ガス流量計算)して、導き出す必要があります。
排出口での規制基準値である2号基準値はあくまでも『敷地境界での基準(1号基準)をクリアする為の基準』となりますので、敷地境界の基準がベースとなり、排出された臭気が薄まって飛散し、敷地境界に着地する際に規制値内になるよう逆算した値が、排出口での規制基準値となります。
その為、排出口の位置や排出条件(風量、温度、水分量など)や敷地境界までの距離、周辺建物などの条件により異なる為、排出口での規制基準値はそれぞれ異なるのです。
そしてそれを求める為のシミュレーションソフトが上で記載しましたニオイシミュレーターです。
計算の手引きとして、環境省が以下の資料を提供していますのでご活用下さい。
尚、排出水に関する規制(3号基準)についてはお問合せ件数が限りなく少ないので本稿では割愛させて頂きます。もしわからない事などございましたらお気軽ご相談下さい。
【よくわかる臭気指数規制2号基準】(出典:環境省/平成28年度)
臭気指数規制用2号基準算定ソフト【ニオイシミュレーター】(出典:環境省)
臭気指数についての概略は本稿の序盤で詳しく解説致しましたので、ある程度ご理解頂けたと思います。
そこで、もう一つの規制基準である【特定悪臭22物質】について解説します。
特定悪臭22物質について
特定悪臭22物質規制は悪臭の代表物質である22物質(アンモニア、硫化水素、トリメチルアミン等)を対象として、その物質濃度と流量で規制を設ける方法です。
敷地境界と発生源の2箇所で規制されています。
規制を管轄する自治体により敷地境界での規制基準(ppm)が明示されているので、敷地境界での測定と敷地境界での規制基準に準じた排気口での流量(Nm3/h)が規制対象となります。
臭気の採取や測定には専門技術が必要ですので、ご自身の事業所が特定悪臭22物質にて規制されている場合は専門の分析業者へ委託する方が良いと思います。
工場臭気対策と悪臭防止法の規制順守については、こちらのコラムで詳しく解説していますので参考にしてください。
悪臭防止法・悪臭規制の解説《工場 編》
の解説ページはこちら
悪臭防止法を順守しないと、どうなるか。
行政措置は、一般的に以下のフローで行われます。
⚠︎【改善勧告】→ 1年 →【改善命令】→ 1年 →【罰金、営業停止】など
令和元年度における行政措置の件数実績は、立ち入り検査1,496件、改善勧告3件でした。
(引用:悪臭防止法施行状況調査(悪臭苦情の統計データ)/環境省より)
業者選びのポイントと対策に要する期間
対策業者の種類と対応範囲
上述の対策ポイントを全て請け負える業者から、一部のみの業者まで様々です。希望に応じて選択します。
対策項目 | 総合対策メーカー | 測定・分析会社 | 環境コンサル | 装置メーカー | 施工会社 | |
臭気測定・成分分析・調査 | 〇 | 〇 | 〇 | – | – | |
データの解析 (OER・拡散シミュレーション) |
〇 | – | 〇 | – | – | |
装置選定・付帯設備改善提案 | 〇 | – | – | – | △ | |
装置設備設計・制作 | 〇 | – | – | 〇 | △ | |
効果デモテスト | 〇 | – | – | △ | – | |
効果測定 | 〇 | 〇 | – | △ | – | |
アフターメンテナンス | 〇 | – | – | – | – |
カルモアは「総合対策メーカー」です。
測定・調査から、対策案・設備・脱臭装置の提案・設計・導入施工まで、工場臭気対策に必要な機能を一貫してご提供いたします。継続的なニオイ監視システムの導入や設備・装置のアフターサポートまでご対応します。ぜひお気軽にご相談ください。
対策にかかる期間
においの排出状況把握から対策設備導入後の効果測定まで全てを行うと、平均で1年~1年半です。
項目毎の期間目安は以下の通りです。
対策項目 | 期間目安 |
臭気測定・成分分析・調査 | 1~2カ月 |
データの解析 | 1カ月 |
装置選定・付帯設備改善提案 | 1~2カ月 |
装置設備設計・製造 | 3~6カ月 |
効果デモテスト | 1カ月 |
設置施工・効果測定 | 1~1.5カ月 |
計: | 6~18カ月 |
対策実施のフロー(全工程で1~1.5年目安)
工場臭気対策の事例紹介
カルモアで対策した工場事例を一部ご紹介します。
( 画像をクリックすると事例の詳細資料をご覧いただけます。一部、資料のない事例がございます。)
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自動車工場
塗装ブースの臭気対策 -
セメント工場
キルン、石炭ミル排気の
臭気対策 -
食品工場
製造ラインの臭気対策 -
アスファルト製品工場
防水シート製造工程排気の
臭気対策
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養豚・養鶏場
堆肥化設備の臭気対策 -
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これまでの対策事例の一部をケーススタディでご紹介しております。
臭気判定士ががわかりやすく解説!
工場臭気対策に関連する動画の紹介
youtube動画でトピック別にご説明しております。
■プロが行う工場臭気対策サービスの紹介動画
■誰もが陥る!工場臭気対策の失敗事例
■臭気苦情が発生したらまずこれをやるべき
■【工場向け】各脱臭装置のメリットデメリット